ソフォクレースの「オイディプース王」と、エウリーピデースの「バッカイ」を題材に、両者を比較しながらギリシア悲劇について概観するという読み応えのある内容で、ギリシア悲劇の入門書として(と言いつつも、ある程度の西洋古典文学に対する知識がないと読みにくいかもしれないが)素晴らしい一冊であった。
西洋古典文学では韻文と散文は二本柱と言えると思うが、私は特に韻文が好きである。
原文で読む喜びが一番如実に現れるのが韻文だと思うからであるが、分けてもギリシア悲劇は様々な韻律が駆使され、韻律ごとに方言も使い分けられる(セリフはアッティカ方言、合唱はドーリス方言、といった具合に)という、いわば韻文の最高峰といってもよいものであるため、私の一番のあこがれのジャンルである。
しかしながら、悲劇は、そういう込み入った韻律の難しさ、語彙の難しさに加え、写本伝承の混乱によるテクストそのものの問題などがあり、初心者の手に負えないものとされており、学生時代に購読するチャンスは得られなかった。
これを読むと、ますます悲劇を読むことへのあこがれが募ってしまう。
早く時間の自由を手に入れて、のんびりとギリシア悲劇を読むような生活を送りたいものだ。
