趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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それならば昭和の味は

 私がはじめてビールを口にしたのは、戯れに母が一口飲ませてくれた小学校二年か三年の夏休みの夜のことだったと思う。やはり子供の口にはビールのおいしさは理解できなかったと見えて、なんだか変な味だ、という感覚だったのを覚えている。

 で、ポイントはこの出来事が小学校二年か三年の時のことだったということである。
 私は1981年の生まれであるから、小学校二年だった1990年はすでに平成に改元されていた。
 したがって、私は昭和のビールの味を知らないのである。

 まぁ、仮にこの出来事が小学校一年のときで、昭和のビールをリアルタイムに体験していたとしたところで、どうせ子供の口にビールの印象が変わるとも思えないが、それでも、昭和のビールの味を私は知らないということである。

 ……というわけで、例の明治大正のラガーに続いて、昭和40年代のレシピを再現したというキリンクラシックラガーを飲んでみた。

 人口分布から考えておそらくこのビールを飲む人の半分くらいは、かつての味への懐かしさが広がるのであろうが、上に述べた通り、私にとって昭和のビールは、明治大正のビールと同じ、「今は失われた古の味」なのである。

 味の印象はというと……どうも複雑な味だ、というところで、明治や大正のようなはっきりそれとわかるようなキャラクタに乏しいように思われる。
 しいて言えば、平成のラガーとの味の違いは、より苦みに重量感があること、後味に苦味の感覚が強く残ることであろうか。

 これはおそらく、戦争による断絶を経た明治大正と、そのような断絶を経ずに今につながる昭和という時代の違いなのかもしれない。昭和は遠くならざりけり、なのであろう。

 とはいうものの、先週連日の終電帰宅に追い込まれるほど忙殺されて疲れきった体には、どこかこの思い苦味が心地よかったのは確かである。昭和四十年代といえば、高度成長が曲がり角に差し掛かり、オイルショックに苦しんだ時代である。きっと当時の日本を引っ張っていたモーレツ社員たちが(たぶん、このブランドのビールしか飲まないことで有名な某財閥系の;笑)長時間残業に疲れた体に流し込んでいた味なのかもしれない。

 いずれにしても苦味の彼方に風の中の昴や砂の中の銀河が浮かんでくるような味わいであった。

 ……そもそも古代エジプトでピラミッド建設の労働者に支給された飲み物がビールだったこと、古代ギリシア・ローマで奴隷に与えられていた飲み物がビールだったこと、等、ビールというのはつらい労働の後に向いている飲み物なのかもしれない。
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コメント

スーパードライが出る前はこのキリンのラガーしか置いてない店が多かったものです。
確か、コクより苦味でしたね。それより、大学のオケのコンパで先輩から、やたらと一気飲みさせられた苦い思い出いっぱいです(笑)。

  • 2009/01/21(水) 18:42:27 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>gramophonさん

 当時は圧倒的なシェアトップだったそうですからね。

 味そのものよりもお、シチュエーションのほろ苦さが味の記憶を決めているのかもしれません(笑)。
 いずれにしても、学生の一気飲みの定番には違いありませんね(苦笑)。

  • 2009/01/25(日) 21:14:45 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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