趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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君主の食卓にふさわしい食材のひとつ

 都内某所で、食べる機会の少ない、とある食材を食した。

 それが何かは、ご想像にお任せすることにしよう。
 おそらくはそれを食するということに対して反発を感じる人も多いと思われるからである。
 とある時代のとある文明における儀礼を記したさる古典の書物に、牛、豚、鶏、羊などとともに、君主の食卓にふさわしいとされるものの一つに列挙されている、とだけ申し上げておく。

 それはあらかじめ下ゆでされて臭みを取った状態で供され、いわゆる香菜とともに煮立ったスープでたっぷりの薬味とともに煮込んで、鍋として味わった。

 異文化に対する不寛容で知られるとある民族から指弾され、伝統的にこれを食してきた民族がおおっぴらにはこれを食することを控えるようになったとか、さらに古い時代、別のやはり伝統的にそれを食してきた民族が、それを食することを禁忌視する別の民族に支配されていた時代、支配民族の影響を受けてその食材としての評価が大いに切り下げられたりと、食文化としてはどちらかというと受難の歴史をたどっている食材ではある。

 実際のところ、そういう影響を受けてか、伝統的にそれを食する民族の若い世代にも、それを食したことのない人が増えているらしく、また、食べたことのある人々もあまり美味であると高く評価する声は小さくなりつつあるという。

 しかしながら、何事も、一度は自分の舌で味わい、評価してみるのでなければ、それをうんぬんすべきではないというのが私の持論である。

 そして、今日、それを自分の舌で味わったのである。

 それは、食感としてはマグロのカマのえらの付け根の引き締まった肉や、同じく引き締まったほほ肉のようであり、また良く煮込まれた地鶏の胸肉のようでもあった。やわらかく下ゆでされたその肉は大変にきめが細かく、やわらかでしっとりとした食感であった。

 味としては、やはり濃厚な地鶏の胸肉を彷彿とさせるパワフルな味わいで、コクという意味では皿に凝縮された感がある。一説には、大変な臭みがあるとの言説もあったものの、よく下ゆでされ、臭みは丁寧にのぞかれており、不快な臭みは感じられなかった。

 私は自分の舌の報告を重視する。
 この食材は、やはり君主の食卓にもふさわしい、美味なるものであると結論付けることにした。
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