趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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Il Divo ~権力はそれを持たない者を疲弊させる

 イタリアで首相を7期務めた中道保守の大物中の大物政治家、アンドレオッティを主人公に据えた映画である。

 彼は「権力は、それを持たない者を疲弊させる」という言葉を残したことで日本でも有名であるが、この映画では、彼自身が「それを持たない者」になって行くさまが描かれている。

 1990年代、イタリアでは汚職事件の数々が判明し、あたかも日本におけるリクルート事件の如く、政財界の大物が逮捕され、失脚して行った。こうした中で、アンドレオッティ率いる長期にわたってイタリアの政権与党であったキリスト教民主同盟の政権がついに崩壊する。そしてアンドレオッティ本人もまた、マフィアとの関連を疑われ、彼が権力を奪取する重要なきっかけとなったモーロ首相誘拐殺人事件への関与をも疑われて、起訴、法廷闘争を余儀なくされるのである。

 こうした彼の転落の日々を描いているのだが、それはまさに図らずも彼が権力の座についていた時のあの有名な発言を、彼自身が身をもって示すかのようである。

 最終的には長い法廷闘争の末に彼は無罪を勝ち取るのであるが、権力を持たないものとなった彼が、権力に疲弊する様子が実に淡々と描かれていた。

 面白いのは、この映画では、アンドレオッティ側でもなく、彼を追及する側でもなく、完全な「傍観者」の視点で描き通されていることである。もちろん、主人公のアンドレオッティが劇中に自分の立場を主張する場面もあるものの、彼自身は何を考えているか分からないとらえどころのない人物として描かれているのである。副題が”La spettacolo vita di Andreotti”、意訳すれば「アンドレオッティの見世物のような人生」となるのであるが、まさに見世物を見るかのように徹底的に第三者目線で描かれている印象を受けた。

 これがなかなか成功していて、この映画にある種の強烈な説得力を与えているように思われる。

 いずれにしても、イタリア名物権謀術数を見世物のように堪能できる、すごい映画であったと思う。
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コメント

とうとうご覧になられましたね!

>イタリア名物権謀術数を見世物のように堪能できる
後のイタリアを牛耳っていたキリスト教民主党が、あんなにあっけなく、あんなに見事に消滅するなど、spettacolo以外のなにものでもありませんでした。
アンドレオッティの「派閥」の面々の描写も面白かったですね。

拙BlogへのTB、よかったらご許可ください。

  • 2009/05/08(金) 00:51:57 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

>なつさん

ほんと、この監督は「描写」がうまいんですよね。題材だけでなく、作品もspettacoloに仕上がっているのが素晴らしいところです。

TB,喜んで。
送信して頂きましたら承認しておきます。

  • 2009/05/09(土) 19:42:23 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

TB送らせて頂きましたが、うまく届きましたでしょうか?

お風邪お大事に。
私は、今頃花粉症です。新型インフルのこともあるし、通勤電車でマスクが手放せません。

  • 2009/05/10(日) 00:07:55 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

>なつさん

プロバイダ側のほうでトラックバックの受入のデフォルト設定を変えていたようで、うまく受信できていませんでした。

設定をし直しましたので、もう一度お願いします。

  • 2009/05/10(日) 15:07:53 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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