趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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BGM考 ~某社のIR担当者はかなりのクラシック好きなのか???

 以前、決算説明会のBGMの話題を書いたことがあったのだが、そこにも出てくる某業界の某社のIR担当者は相当なクラシック好きのような気がする。

 前回記事に書いたときは、史上最高益更新ではあるものの、同業他社には一歩及ばない、その微妙な心境を、ベートーヴェンへの尽きぬ憧れと、ベートーヴェンには到底及ばぬとの思い、そして同時に自分ならベートーヴェンに匹敵するものを作れるぞという自負の同居する、複雑な屈折した思いに満ちたブラームスの交響曲第一番に託されているようだ、と書いたのだが、その後のBGMの選択も、非常に秀逸だったのである。

 昨年秋の世界同時大恐慌の影響で同業他社の従来の稼ぎ頭の事業が片っ端から大ダメージを受け、当該事業分野への進出が出遅れていた当社が相対的に脚光を浴びた時の決算説明会のBGMは、モーツァルトの協奏交響曲であった。
 この作品は、当時流行した、複数の楽器をソロにフィーチャーした、交響曲と協奏曲の折衷ともいうべき様式であるのだが、これはモーツァルトがザルツブルグの大司教に仕えていた時代に、ある夜のコンサートでヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲を作曲し、演奏するように命令を受けたものの、主役とみなされたヴァイオリンを演奏する役をライバル宮廷楽師に奪われ、自分はヴィオラを担当しなければならなくなった時に作曲された作品で、これを逆手に取ったモーツァルトはその才能を駆使して、「ものすごく簡単なメロディに聞こえるのに指遣いがやたら難しくて、簡単なメロディーをたどたどしくしか弾けない腕の悪い演奏家に見えてしまうようなメロディーライン」をライヴァルが弾くヴァイオリンパートに書き上げ、自分が引弾くヴィオラのパートにはその真逆の、「すごく華々しく難しそうに聞こえる割に、実は指遣いが簡単で弾きやすい」メロディを書き上げたのだそうである。
 まさに、従来の「主役」が悪戦苦闘する中、「脇役」扱いされてきた自分たちが主役に躍り出るときだ、という思いが伝わってくるBGMではないか。

 そして今回、不況の深刻化で同業他社ほどひどくはないもののそれなりにダメージを被って、中期経営計画をかなり低い水準で発表せざるを得なくなった説明会のBGMは、シューベルトの「未完成」。
 われわれの計画は未完成であって、実力はこんなもんじゃないんだ、という意気込みと、未完成でもこれだけ素晴らしいものが出てくるんだからよしとしましょうよ、というある種の自意識がうかがえて面白い。

 この会社は、業績では業界トップにはやはりかなわないないと言わざるを得ないかもしれないが、少なくともBGM選択力ではダントツ業界トップであることは間違いない♪
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