趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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行ってはじめて分かること~迷宮的旅行記第8章(6)

 空港からホテルに一度戻った私は、夕食をとりに再び町に出かけた。

 すでに22時近かったのだが、ギリシア人は宵っ張りで、夕食は22時くらいにとるのが標準だとかで、レストラン街は大変なにぎわいを見せていた。

 私が向かったのは、現地人に人気の店だという地元料理の店である。

 まず、食前酒として、ギリシア名物の薬草酒ウゾを注文した。

 ……が、出てきた量がすさまじい。
 コップになみなみと注がれて、そこに3つばかり氷が浮かんでいるだけなのである。

 そしてこれが30度くらいの蒸留酒ときていて、結局食前のつもりが食中もずっとこれを飲み続けることになったわけである(苦笑)。

 とはいえ、アニス系の薬草酒の香りを好む私の口には合う酒であったので、まぁそれはそれでよしとしよう。

 まずはギリシアサラダを頼む。野菜をたくさん食べたい私にはとてもありがたいメニューである。

 メインには、マトンのひき肉をミートボールにして、トマトと玉ねぎで煮込んだお店の今夜のお勧め料理を注文した。

 マトンのパワフルなコクが、味の濃い地中海ならではのトマトの味わいとがっぷり四つに組み合い、大変おいしい。ベストチョイスは地元の濃い赤ワインだろうが、ウゾの独特な香りとマトンの個性的な香りが好対照で、ウゾとの組み合わせもなかなか楽しめるものとなった。

 腹も膨れ、ウゾで心地よく酔った私は、ホテルに戻り、眠りに就いた。

 翌日は、現地発着ツアーでミュケナイに向かう。

 団体行動が好きでない私は、なるべくならツアーに頼りたくないのであるが、ミュケナイ遺跡は交通が極めて不便で、個人で行こうというのであれば現実的にはレンタカーを借りて自分で運転するしかない状況である。車の運転は団体行動以上に嫌いなので、諦めてツアーで行く次第である。

 バスに乗り、アテネを出ると、約1時間ほど走ったのち、コリント地峡の休憩所で休憩を取る。

 コリント地峡はアドリア海とイオニア海を隔てる約6キロの地峡であるが、ここは古代より何度も運河開削の試みがなされては頓挫していて、ようやく19世紀に完成したという運河である。

 標高50メートルを超える丘を真っ二つに切り裂くように掘られた運河は、まっすぐ平行な切り立ったむき出しの岩盤が50メートルもの断崖絶壁となって切り立っていて、なかなか壮観である。ウィキペディアに特徴をよくとらえた写真があるのでリンクを張っておこう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Corinth_Canal_2.jpg

 コリント地峡を出発してさらに2時間ほどでミュケナイの遺跡に着く。

 ミュケナイの遺跡は、クノッソスの緩やかな丘とは打って変わって、非常に険しい深山幽谷の奥に築かれた城塞であった。世界史の教科書には決まって、クレタ文明は平和的だが、ミケーネ文明は戦闘的、と書いてるものだが、実際に行ってこの難攻不落の城塞の遺跡を目の当たりにすると、なるほどミケーネ文明は戦闘的だ、と実感する。このときはじめて、受験丸暗記知識が実感を伴った経験となったのだ。

 圧倒的な迫力を持っているのは、3,300年間崩れずに立ち続ける城壁である。巨大な意思が高く積まれていて、非常に威圧的な雰囲気を持っている。正門を飾る獅子のレリーフは、現存する最古の石像リリーフだそうで、これもまた美しい。

 城壁内部は、ミュケナイ滅亡の時に焼け落ちてしまっていて、崩れた遺構が残されているのみであるが、丘の斜面に築かれた町の跡を上へ上へと昇ってゆき、頂上部から周りを見渡すと、本当にこの城塞都市が防衛重視で築かれていたことが納得できる。

 神話ではここはアガメムノンの治める都市で、彼とその妻クリュータイメーストラ、そして彼らの子エレクトラやオレステスらの肉親同士の血の復讐劇が繰り広げられた舞台となった街でもある。なるほど、この重苦しい城塞都市には、そんな復讐劇が似合うかもしれない。

 ミュケナイ遺跡を見終えるとバスは昼食会場へ進む。
 ツアーのお仕着せの昼食がいかなるものか、推して知るべし。多くは語るまい。

 (続く)
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コメント

こんばんは。今回も、旅日記楽しく読ませて頂いています。
遺跡めぐり、グルメ、濃い旅を堪能されている様子が窺え、うらやましいかぎりです。

私も今の派遣の仕事が終わったら、夏のハイシーズンは無理でも、なんとか旅行に出たいものです。今度こそ「ローマより南」…と。
もし、イタリアからギリシャに渡るとすると、ブリンディシからピレウスという航路が一般的なのでしょうが、船酔い必至の私には無理だなあ、と今は想像するだけで楽しんでいます。

  • 2009/06/18(木) 00:37:28 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

>なつさん

お返事が遅くなってすみません。

「ローマ以南」は、北部以上に魅力にあふれていると思います。

ぜひナポリでプランツォのアンティパストにモッツァレッラを召し上がってください!

  • 2009/06/28(日) 20:42:49 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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