趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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大当たり~迷宮的旅行記第8章(10)

 アテネの夜はいよいよこれで最後である。

 昨日のワインの憾みがあるため、ここはぜひいかにもギリシアの赤ワイン、という感じの重くて渋くてずっしりしたやつをこれまた日本ではなかなか味わえない羊料理で堪能してやろう、と固く誓い、またタヴェルナが軒を連ねるプラカ地区へと足を運ぶ。

 夜風の心地よい晴れた夜で、ここはぜひ野外のテラス席で食事したいところである。

 そう思いながらふらふらとタヴェルナをいくつかのぞいていくと、ひとつ心惹かれるものがあった。

 このあたりのタヴェルナでは珍しい、布のテーブルクロスをかけたワンランク上の店のようである。

 入ってみて、メニューをもらうと、手書きの「今日のおすすめ」のところに「ラムの煮込み、レモン風味」という、心躍る料理を発見。これをメインにして、オードヴルにすっかり気に入ってしまったギリシアサラダを頼み、ワインは水割り防止のため(笑)デキャンタで出てくるハウスワインは敬遠して、ハーフボトルを一本注文した。そして、炭酸入りのミネラルウォーターもである。水割りは胃の中で(笑)。

 まずワインが出てくる。

 口に含んでみると……予想通り、ボディーブローのようにドスンと重い渋みが口の中に広がる。これぞギリシアの赤ワインである。

 ギリシアサラダを、ワインは羊のために撮っておくべくほとんど水だけで平らげて、サーヴィスのパンをかじりながら、羊が煮えるのを待つ。

 いよいよ羊の登場である。

 肩かももの付け根あたりの肉らしく、関節の骨付きで、私のこぶし二つ分くらいはあろうかというボリュームでドーンと出てきたその肉の存在感にまずテンションが上がる。ナイフを入れると、これまたほろりと肉の繊維がほぐれ、切るまでもなくフォークですくって口にはこぶ。
 関節のまわりの肉ならではのコラーゲンたっぷりのとろりとした食感、硬い肉を軟らかくなるまで時間をかけて煮た時に特有の深みのあるうまみとコク、そしてラムならではの少しひやりとするような独特の肉の香りに、レモンのほのかな香りが重なって、非常に立体的、対位法的な味わいが口中に広がる。

 そこに例の重いワインを続けると、力強いタンニンがさらに安定感を与え、ヴァイオリンとヴィオラの二声のフーガにチェロが加わって3声のフーガとなったかのようである。これぞギリシア料理の神髄といったものだろう。

 実にすばらしい一皿であった。ギリシア最後の晩餐は、大当たりである。

 すっかり満足した私はホテルへと戻って行ったのだが、その道すがら、アイスクリーム店の前に人が集まっているのが目に入る。

 すると途端に酔い覚ましの甘いものへの誘惑が私を魅了し、私はあっさりと陥落した(笑)

 ミントをこよなく愛する私はチョコミントがあるのを見つけると、すかさずそれ一種類をコーンに持ってもらい、2ユーロを支払って食べながらホテルへ向かう。

 すると、一口食べて驚いた。まるで、フリスクのようにミントが強烈に聞いているのである!
 ミント愛好家にはたまらない味わいだ。こんなにおいしいチョコミントアイスは食べたことがない。これには心の底から脱帽した。

 つくづく今夜は食運(?)の良い日だ、とかみしめながら私は眠りに就いたのだった。

 翌朝、近くの文房具店で大きな封筒を買い、ギリシアのガイドブックやギリシア国内で買った博物館の土産本など、重いものは郵便で日本に発送した。今回の旅行では、機内持ち込み可能なキャリーケース一つでコンパクトな荷物で旅行する、という試みをしており、そのための工夫の一環であるのだが、これは思った以上に快適であった。今後もお土産に買った書物は日本に郵送することになるだろう。

 雑用をこなしたのち、軽くグリークコーヒーを飲んで空港に向かい、今度はローマへと飛び立った。(続く)
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