趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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トラステヴェレのピッツァ~迷宮的旅行記第8章(18)

 昼食を軽くすませて遺跡を歩き回ったおかげで、食欲はこの上なく高まっていた。
 向かった先はトラステヴェレ。
 この界隈まで来ると地元民の人口も増えてきて、観光客向けのレストランに迷い込む確率も低くなってくるらしい。

 私が狙いを定めたのは、トラステヴェレ名物のピッツァである。
 今回はナポリではほかにもっと食べたいものが多かったこともあって見送ってきたのだが、トラステヴェレのピッツァだけはイタリアでもナポリに準じる美味しさだと聞いて、チャレンジしてみることにしたのである。

 トラステヴェレといっても広いのだが、観光客も多い目抜き通りを避けて細い路地に軒を連ねるピッツァリアをいくつか見て回り、英語の案内看板を出していない店を探す。繁華街を離れて閑静な住宅街のほうに近づくにつれ、店の中から聞こえてくる話し声にイタリア語が目立ち始める。カンは正しかったようだ。

 うろうろと歩き回って一番よさそうな雰囲気を感じた店に入ってみる。
 ナポリでおなじみの、薪を燃やした大きなかまどがでんとそびえた、いかにもうまいピッツァを焼いてくれそうな店だ。

 まずはサンベネデットの炭酸水と白のハウスワインを注文。フラスカーティ産だという、よく冷やされたそれは、いかにもラツィオの白らしくさわやかで軽やかな味わいで、ピッツァにぴったりだ。

 ナポリ名物のマルゲリータでは少々芸がないので、ラツィオらしくアマトリチャーナを注文した。

 話に聞いた通り、ナポリよりも硬くパリパリ感を強く焼きあげられていて、歯触りが何とも心地よい。
 少し強めに塩を利かせたアマトリチャーナの味わいが、フラスカーティのさわやかな白と相性抜群である。

 モッツァレッラ・ブッファラの魔術的な美味しさの分、ナポリにはかなわないとは思うのだが、それでも余の評判の通り、トラステヴェレのピッツァはなかなかの味わいであった。

 セコンドには魚介のグリリアータ・ミストを注文。ローマでは火曜と金曜に魚を食べる人が多いのだそうで、ちょうど火曜であったこの日はオスティアから運ばれてきた新鮮な魚介が市場にたくさん出回るのだそうで、かなり期待が持てる。

 出てきたのは、スズキの切り身、手長エビ、ムール貝、イカ。表面に軽く焦げ目を入れてあり、真希の火であぶったと思われる香ばしい香りが食欲をそそる。レモンを絞り、食べてみると、どれも実に新鮮で、文句なしにおいしい。スズキはしっとりとした舌触りが官能的で、手長エビは身は少ないながらもこのエビならではの凝縮しただしの味のパワフルなコクがたまらない。ムール貝もイカもぷりぷりとしていて甘みが豊かで、どれもフラスカーティの軽やかな風味が繊細な味わいとぴったりであった。

 ドルチェはジェラテリアでジェラートをと思っていたので、この店はここで切り上げ、会計を済ませて夜風に当たりながら酔い覚ましの散歩を兼ねて、テヴェレ川を渡り、パンテオン方面に向かう。

 行列のできるジェラテリアとして紹介されていた老舗のジェラテリアで、レモンとイチゴとミントの3種盛りを味わった。レモンの酸味を鋭く利かせたレモンは夏の夜の一服の清涼剤としてこの上なく心地よい味わいであるし、イチゴは素材の味が素直に生かされていてこれまた素晴らしい。ミントも、ギリシアで食べたフリスク級のミントアイスには負けるものの、日本の遠慮しすぎたミントフレーバーのそれとは比べ物にならない、鮮やかなミント風味である。

 たっぷりと摂取したカロリーを消費すべく、パンテオンからさらにテルミニ駅まで歩き、そこから遠くないホテルに戻って、その夜は眠りに就いた。
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