趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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「山猫」原作

 "イーストウッドの山猫"こと、グラン・トリノを観て、連想が働いたのか、無性に本家ヴィスコンティの「山猫」が見たくなり、DVDを見返したりしていたとき、ふと立ち寄った書店で何の気なしに岩波文庫のコーナーを見てみたら、なんとランペドゥーサの原作が見つかった。

 なんでも、これが原作発表50年を経てようやくイタリア語原典からの日本語訳なのだそうである。

 山猫づいていた私はすかさず飛びついて買ってみた。

 まず思ったのが、その少々回りくどくも優美なる、本物の貴族階級を血肉としたものにしか描きえないであろう時代の空気感を読む者にありありと感じさせる文体の魅力である。もちろん、訳者の腕のなせる技も大きい。

 また、映画版ではある種少女漫画的と言えなくもない美化を伴って描かれていたタンクレーディとアンジェリカのカップルの後日談、そして映画版では端役と言わざるを得ないコンチェッタが原作では実に重要至極な役割を果たすことなど、物語の奥行きがずっと広がって感じられた。

 それにしても、原作を読んで実感したのは、ヴィスコンティという人は本当に天才だということである。
 通常、映画版は時間の制約もあることから原作をかなりスリム化せざるを得ず、見てから読むと原作のほうがずっとおもしろかったりすることが多いのだが、こと「山猫」の場合、原作をかなりスリム化していながら、原作の密度と風味を完全に維持しきっているのである。

 解説によるとイタリアで一番人気のある近代文学はほかならぬこの「山猫」なのだそうであるが、それも非常に納得できる、すばらしい作品だと思う。
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コメント

Il gattopardo

「山猫」は何度観てもいい映画です。

原作は佐藤 朔訳の河出文庫版は読んでますが、岩波文庫でも出たのですね。早速読んでみます!

  • 2009/08/26(水) 11:40:05 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>gramophonさん

佐藤訳はフランス語訳からの重訳だそうですね。

岩波の新訳は非常に読みやすく、お勧めです!

  • 2009/08/29(土) 20:50:49 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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