趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「メッテルニヒ」

 オーストリア帝国の黒幕を長く務めたメッテルニッヒ宰相の伝記本である。

 私は彼がいかに老獪な人物であったかということについて、左翼系の歴史家が苦々しく語るのを見て、非常に興味を持っていたのだが、これが実に面白い。

 彼はもともとはトリーア選帝侯国の高官を代々務めたライン沿岸の大貴族の家柄で、オーストリア帝国にとっては外国人だったのだが、フランス革命戦争でフランス軍に領地を占領されてウィーンに亡命し、そこでマリア・テレジア帝の御世に宰相をつとめたカウニッツ家の娘と結婚したことをきっかけに、ウィーンの宮廷に登用され、ついには外相としてナポレオン戦争の対仏交渉を一手に任されるに至る。

 このあたりの出世物語やナポレオンとの厳しい交渉など、実に読んでいて面白い。

 しかしながら、作者が元某新聞の記者で根が左翼なせいか、ウィーン会議終了後の「ウィーン体制」時代になると途端に筆が鈍るのである。私としては右派の雄として堂々と描いてほしかったのだが、そこは作者の限界だったのだろう。

 それにしても、日本の歴史作家で、右派をきちんと描くことのできる作家は塩野七生氏くらいしか思いつかない。まぁ、母集団からして日本人の世界史系歴史作家はごく限られているには違いないのだが…。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tiberiifelicis.blog10.fc2.com/tb.php/621-40021aed
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。