趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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リデルハート「第一次世界大戦 その戦略」

 先日書店に行った際に、ふと目にとまったので購入した本である。

 私は第一次世界大戦には並々ならぬ関心を抱いてるのだが、なかなか通史の形でまとまった本を読む機会に恵まれなかった。これは、大戦を、開戦から停戦まで時系列に沿って網羅的に概観できる良書である。

 初出は戦前で、ゆえに訳文が古めかしくて読みづらいのだが、淡々と事実の描写に徹底しており、それがかえって臨場感を生んでいると言えるだろう。

 これを読んで一番強く感じたのは、ダメな軍隊は旧日本軍だけではなかったということである。

 はっきり言って、第一次大戦の指揮官は、連合側も同盟側も、わが日本軍と大差ないと思えてしまうくらいダメっぷりを露呈している。それだからこそ、大戦があれほど甚大な人的・物的被害を双方に被らせたのだろう。

 一番ダメなのは、連合側も同盟側も、当初計画に官僚的にこだわりすぎていて、もはや状況の変化により有害無益となった作戦行動を多数の戦死者を出しながら続けようとしていることである。これは大は戦争全体の戦略から、小は局地戦の戦術に至るまで徹底的で、これでは兵士たちは浮かばれまい。塹壕の奪い合いで何十万と言う戦死者を出しながら一向に効果のない突撃を止めようとしない両軍を見ていると、まるで203高地の乃木将軍が同志討ちをしているようだ。

 ローマ人の物語に登場した古代の戦争の記録を見ていても言えることだが、優秀な指揮官同志の戦争では、人的被害が少なく決着がつくようである。そして、愚劣な指揮官と優秀な指揮官の戦争でも、前者になすすべを与えないことで双方の人的被害は比較的少ないようだ。最悪なのは、愚劣な指揮官同志の戦争で、これは勝者敗者とも多数の死傷者が出る。

 もし私が兵士だったら、敵軍の指揮官が有能であることを祈るだろう。なぜなら自軍の指揮官の能力如何にかかわらず、敵軍の指揮官が有能でさえあれば、無事生還する可能性が高くなるのだから。
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