趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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第九あれこれ(その2)~素材の味を味わう

 さてその第九である。

 以前新聞の川柳コーナーで「合唱でやっと第九とわかりけり」なんて作品が掲載されているのを見た記憶があるが、たしかに第九というと第四楽章の合唱のメロディだけが有名で、それ以外の部分もきちんと知っている人は意外と少ないようである。

 そこでまず第九シリーズの第一回としては、素材の味を味わう、ということをテーマにはじめたい。

 有名な第四楽章は全体のフィナーレで、実はその前に第一楽章から第三楽章があり、それぞれに大変な名曲である。

 第一楽章は大変霊感に満ちた音楽で、虚空の中から世界が創生されていくような大変スケールの大きい音楽である。特に印象的なのはメロディが一種空間的な広がり感を持っていることで、宇宙が誕生して果てしない拡大を続けていくような、静的でありながら力強く非常に壮大な音楽が繰り広げられていく。

 第二楽章は気合あふれるティンパニのまるで雷のような力強いリズムが曲全体を強力にドライヴする音楽で、それはまるでかのドイツ機甲師団のごとくすさまじいまでのパワーで突き進んでいく。パワフルな曲を書かせたら音楽史上右に出るものはいない気合の人ベートーヴェンの面目躍如である。

 第三楽章は打って変わって、夢見るようなやさしく美しい緩除楽章である。安らぎに満ちた味わい深いメロディに始まり、そのメロディをベートーヴェンの18番中の18番、変奏曲形式で展開してゆくのである。これは美しい!!

 そしてかの有名な第四楽章である。私と同世代の人はエヴァンゲリオン24話でこの曲と出会った人も多かろうと思うが、とにかく劇的で独創性にあふれたとてつもない音楽である。

 さてこの曲の、上に述べたような素材の味を最もよく味わえる演奏はどれであろうか。

 一般的には、第九演奏史上の最高傑作は1951年にフルトヴェングラーがバイロイト祝祭オーケストラを指揮した録音であるといわれている。

 確かに上記の「バイロイトの第九」は、霊感に満ち溢れたすさまじい演奏である。しかしながらフルトヴェングラーの場合、独創的な味付けが非常に強く施されているため、第九をよく知る人でないとそのすごさを理解しきれないという面が否めない。各言う私も、フルトヴェングラーの第九のよさがわかるまでに2年くらいの歳月を要したものである。

 私はむしろ、この演奏は第九を味わい尽くしてから、さていよいよと満を持して聴くためのものという気がしないでもない。

 では、素材の味が最もよく出た演奏は何か。私は、フランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラの演奏をとりたいと思う。この、ベートーヴェンの時代の楽器を使用したオケの演奏は、テンポ設定が早すぎず遅すぎず絶妙で、一つ一つの音符を実に丁寧に効果的に音楽化し、音色の表情が大変豊かで、特に弱音表現の繊細さ、緻密さは比類がない。また合唱団(グルンベキアン合唱団)の水準もきわめて高く、ハーモニ^の美しさの天でも右に出る演奏は思いつかない。それはそれは味わい深い演奏になっている。

 合唱のメロディしか知らない人が、まずこの作品の素材の味のいかなるものかを知るには、最高の演奏であると思う。
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コメント

フルトヴェンブラーの話題が出たので一言。
僕にはちっともいいと思えない、むしろひどい演奏だと思っています。何かを暗示されるような出だしから瞑想にふける3楽章、そして勢いよくぐちゃぐちゃになって果てる終結。
主観的なのはいいのだが、客観性がゼロになったらこうなるといった代表ではないかと思ってます。フロトヴェングラーの音楽というのは自己満足の世界を出ない。極言するならば、自らの快楽のみを希求した単なる自慰行為の結果の産物に過ぎずないとすら僕には思えてしまうのです。

異論反論は多いかと思いますが、あえて率直に意見を述べさせていただきました。

  • 2005/12/18(日) 23:53:44 |
  • URL |
  • fratres #-
  • [ 編集]

相変わらず辛辣なご意見ですな。
私はフルヴェンも好きですけどね。
自らの快楽を追求した結果得られた産物が、聴く人の快楽になるならいいじゃないですか。まあバイロイトの結末崩壊よりも37年(だったっけ?)のぶっちぎりマッドネスなあの演奏のほうが好きですけど(笑)

  • 2005/12/19(月) 23:54:36 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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