趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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ローマ人の物語 第14巻

 年末恒例、ローマ人の物語の新刊が出たので早速購入し、読み始めた。
 いつもながら塩野七生氏の明晰な文章は大変に面白く、今回も一気読みである。

 15巻シリーズのローマ人の物語も今回でついに14巻、コンスタンティヌス大帝の死からテオドシウス帝によるキリスト教以外の宗教の非合法化までの時代を描いている。

 私は塩野氏の著作には大変大きな影響を受けてきたのだが、その中でもこのシリーズから受けた影響はかなり大きい。大学でラテン語・ギリシア語を履修したのも、このシリーズの影響を受けて、と言うのが大きな理由のひとつである。

 今回は『キリストの勝利』と題され、ローマ文明がキリスト教によって侵食され、ついにはその実を失っていく様が語られている。黎明期のローマ、成長期のローマの叙述には、胸のすくようなわくわくする楽しさが、最盛期のローマの叙述には、考えに考え抜かれたシステムが持つ芸術的な美しさへの知的な感動が、それぞれ魅力的であったのだが、衰退期を経て氏へと向かう帝国の姿には、いかんともしがたい歴史の流れと言うものの圧倒的な力を思い知らされる思いがする。特に今回のテーマは、あれほど現実的で世俗的であったローマ文明が、狂信的宗教国家へと変質していく様が描かれており、それがちょうど昨今のイスラム原理主義の台頭を思わせるようでもあり、その変質過程は非常に巧妙で空恐ろしくさえある。

 来年出る15巻では、ついに国家としての帝国の死が描かれるはずだ。だが、国家としての帝国はまだ続いたにしても、やはり文明としての帝国はキリスト教の国教化とともに滅びてしまったと言えるだろう。

 文明死した後の国家の死がどのように語られるのか、15巻発売が待ち遠しい。
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コメント

こんばんは。暮も押し迫ってきて、冷え込んできましたね。
早くも、読破されましたか!私はまだまだなんですが、TBさせてください。http://natsu.at.webry.info/200512/article_24.html
concordiaの精神が狂信に敗れたのは、悲しいことですが、今でもイタリアに行けば、古代ローマ帝国の面影を十分しのべることは、人類歴史上の大きな幸福ですね。
そういえば、ネロの黄金宮が長雨かなにかで痛みが著しく、しばらく見学中止とか。
イタリアらしく気長にじっくりと修復してほしいものです。

  • 2005/12/29(木) 00:41:56 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

おはようございます。
TBありがとうございます。
私のほうも早速TBさせていただきますね。

黄金宮、見学中止ですか。私はいい時期に訪れることができてよかったです。

  • 2005/12/29(木) 11:05:36 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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