趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

美味放浪

 友人のfratresさんとの新年会として、かねてから行きたい行きたいとずっと思い続けていた店二つを、今日一気に回って来ることができた。

 まずは東京は西麻布、高級住宅街の片隅にひっそりとたたずむ知る人ぞ知る和菓子店の茶房に、店員さんが(所作の美しさからして、きっと茶道の心得のある人なのだろう)丁寧に入れてくれる玉露を味わいに赴いた。

 この店の玉露は大変手の込んだ入れ方をしてくれる。
 まず、最初の一煎目を、春先の日向水くらいの温水でゆっくりと時間をかけてじんわりとごく少量を抽出し、驚くほど濃厚な味わい~それはまるで、一種の蒸留酒のような力強い味わいである~を楽しむ。『緑茶』と言うものの味に対するイメージを超える非常に濃厚な旨味の利いた、読んで字のごとく露の一粒一粒が玉と輝くような極上の一口である。

 ついでニ煎目は、先ほどよりは温度が高いが、それでも風呂の湯よりも温いくらいの温水で、量を増やしてまた味わう。
 一煎目の強烈な旨味は薄らいでいるものの、それでも豊かな旨味に満ち、そして一煎目では旨味の影に隠れていた甘味が姿を表してくる感じで、これまた大変に美味である。

 ここでお茶請けに頼んでいた豆大福と椿の葉にくるまれた、漉し餡をもち米で包んだ菓子が出てくる。これも上品な甘さが大変心地よい。

 3煎目には、通常イメージする『ぬるめのお湯』~おそらく50度くらいであろうか~で、ごく普通の煎茶のような量を淹れ、これまたごく普通の煎茶のように味わうのだが、それでもこの玉露の葉の底力と言うべき大変豊かな味わいがたっぷりと詰まった素晴らしい味わいの一杯である。

 最後には、残った茶葉をポン酢とすだちで食して終わる。これがまた、ちょっとしたおひたしのような味わいで、大変面白い味である。

 この店は以前テレビで、『名前を出さない条件で取材を許された店』として、この店の常連だと言う某大物男性歌手によってレポートされ、その見るからに美味そうな茶を何としても味わわねばならぬ、との使命感に燃え立ち、ネットで検索しまくって突き止めた店であるのだが、それほどの努力を払っても行く価値のある店であった。

 次に赴いたのは、ウィスキーに一番合う食べ物として、また、日本人の好みに非常に合わない食べ物として有名な、ハギスを供するイングリッシュパブである。

 ハギスと言うのは、日本人の苦手な匂いの五本の指に入る羊肉を、内臓とともにひき肉にし、腸詰にして煮込んだものを長をはがしてばらばらにし、ウィスキーを振りかけてマッシュポテトに混ぜながら食するスコットランドの代表的家庭料理である。日本人の苦手な匂いの大好きな私には、聴いただけで食指が動くようなメニューなのだが、ご多分に漏れず日本でこれを食べることのできる店は非常に少ない。

 と言うわけで、ウィスキーの専門家がハギスを語るたびに私の憧れを集めてきたこの食べ物を供する店を、これまたネットの検索で探し当てたのがこの店で、見つけてから一年以上たってようやく今日行くことができたのである。

 で、お味のほうはと言うと、羊の香りが大変豊かに広がり、臓物を入れているからこそ生まれる濃厚なコクがとても力強く、シングルモルトウィスキーの強烈な個性とがっぷり四つに組んで対等に渡り合うことができている。専門家の意見はやはり参考になるものだ。

 いずれにしても、何ヶ月間も行きたい行きたいと思っていた店を訪れ、本懐を遂げられて大変に幸せである。

 その後、ハギスがあまりお気に召さなかったfratresさんに促されて渋谷に移動したのだが、あまりにも人が多くどこにも入店できず、結局新橋に移動して鳥料理の店で飲みなおしたのであった。
スポンサーサイト

コメント

新年早々、道楽されましたね~
玉露のような高級なお茶ではありませんでしたが、私が人生で一番美味しいと思ったお茶は、南部鉄瓶で入れられたお茶でした。

>最後には、残った茶葉をポン酢とすだちで食して終わる。
茶粥ならぬ茶のおひたしですか!
私も一度頂いてみたいです。

ところで、目出度く勝ち戦とのこと、心よりお祝い申し上げます。

  • 2006/01/09(月) 23:00:43 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

 煎茶にも「道」があるように、奧が深いですね。
 さて、ハギスは羊の匂いが駄目だとか、レバー嫌いには難しいかも知れませんが、濃厚でうまいものです。蒸留酒に弱い私は、ハーフパイントのダークビールと共に頂いたことがありますが、とても美味でした。

  • 2006/01/10(火) 13:00:07 |
  • URL |
  • gramophon #-
  • [ 編集]

>なつさん

 ありがとうございます。取材拒否の店なのでここに書くことはしませんが、メールでも頂ければ是非ご案内させていただきます。

>gramophonさん

 ハギスをダークビールと一緒に味わうのも、合いそうですね。アルコールの刺激が少ない分、より味わいが豊かに広がりそうです。

  • 2006/01/10(火) 23:47:55 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tiberiifelicis.blog10.fc2.com/tb.php/89-ef621641
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。