趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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Boys don't cry

 ミリオンダラー・ベイビーでは大いに私に感動を与えてくれたヒラリー・スワンクだが、ふと立ち寄ったレンタルヴィデオ店に彼女の出世作であるこのBoys Don't Cryが並んでいるのを見かけて、早速借りてきた。

 ミリオンダラー・ベイビーも非常に重い話だったが、このボーイズ・ドント・クライもそれに負けず劣らず、重い話である。

 この作品は実話を基にした伝記的映画で、アメリカの田舎町に住む性同一性障害を抱えた主人公(肉体は女性、精神は男性)が、故郷を離れ、新たな町(これまた別の田舎町)で男性として生きようとする。男性の友人たちを得、女性の恋人も得るのだが、肉体的には女性であることが露見し、アメリカの田舎者に特有の同性愛に対する偏執的な憎悪を一身に受け、暴行の末に射殺されてしまうと言う悲劇的な物語である。

 ミリオンダラー・ベイビーも悲劇的な物語ではあったのだが、そこで描かれているものは、絶望よりも希望、あるいは尊厳とでも言うべきものに感じられた。それとは対照的に、この映画が描き出すものは絶望そのものである。登場する若者たちは皆貧困層に属し、その生活には絶望的な閉塞感が漂う。主人公を取り巻く田舎者たちの性同一障害への無理解ぶりもまた絶望的である。ではサンフランシスコあたりに亡命すれば良いではないか、と日本人の私には思われるのだが、それもこの映画を見ているうちに『隣町まで110km、州都までは2000Km』という米国の絶望的な広さが貧しい主人公から移動手段を奪っている、と言う絶望的状況に気づく。あらゆるものが絶望に取り囲まれているのである。

 しかしながら私は、この絶望感の傍らで、ヒラリー・スワンクの姿に魅了されていたーというのも、昔憧れに憧れ
て決して手の届かなかったあの人によく似ていたのだ。まったく未練がましい情けない話ではあるのだが、これもまた業のような物だろう。ひょっとすると、最大の絶望はこれなのかも知れない(苦笑)。
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